山崎は、嫌われ魚の「アイゴ(バリ)の食用化」にも成功し、業界紙に大きく報道されるなど話題を呼んだ。
アイゴは温暖な海域に生息する十センチから三十センチのいそ魚で、長崎では「バリ・ヤノ魚」と呼ばれる。
この魚は海の中の海草を食し、磯焼けの大きな原因をつくる事で知られており、 毒針のあるヒレと鼻が曲がりそうな臭いをもつことから、九州では下魚として扱われており、同県の漁場では、夏から秋にかけて大量に水揚げされるが、大半が海に戻され、市場に出ても安値で売られるという。
しかし、
「流通に乗らない不人気な魚でも、手を加えればおいしくなるのでは」
とアイゴに注目。
調理法、食べ方を含めた食文化を提案すること自体がブランドと考えている。
”100%天然物”であるアイゴの食用には大きな意義がある。
その身のうまさに惚れた山崎は、毒針やにおいのもとになる内臓をだれでも簡単に切除できるハサミや、薬品を一切使用しない消臭液を考案し、食用化に成功した。
臭いが橙を始め、広範な柑橘系の植物から抽出したエキスで消せることも発見し、その調理技術を広めるべく活動を行っていく中で、民放数社で放送された。特にNHK短波放送では国際放送をしていただき、山崎本人も驚いていた。
2004年、鹿児島で開かれた水産庁所管(独)水産総合研究センター主催の緊急磯焼け委員会へ招かれ、成分の発見経過とアイゴの調理実習報告をスタッフ同行のもと行った。
山崎は発見を取り上げていただいた事に、このうえない喜びと感謝を感じたという。
バリは白身で肉質がしっかりしている、まるでかわはぎや鯛のような昧と食感で、食べた多くの人がそのおいしさに驚いた。
小骨がなく、身離れもいいため老人や魚嫌いの子どもにも食べやすい。
魚の少ない夏場の高水温期に獲れるため、貴重な天然の白身魚になるのではないかと山崎は考える。
「昔はカサゴでもオコゼでも捨てていましたよね。
生けすが普及するようになり価値が理解され始めました。
ですからこのアイゴも得がたい魚に化ける可能性がありますよ。
アイゴは高水温に強く、ほかの魚が少ない夏場でも活魚のまま確保できる。
クセがないからどんな料理にも使えるし、今後見直されていくでしょう。
」
「これも”無駄なものは何一つない”という教えのおかげ」
アイゴが町おこしの一助になれば」と、夢を膨らませている。
わが国の水産物の自給率が40%を割るという先進国の中で最低となる中、アイゴなど未利用資源の食用化は、将来予想される食料危機に備えるためにも必要なことだといえる。
今後も自然、海の大切さを訴え続けていきたいと語る。
|